No.653 明暗順応 | NPO法人NMA

No.653 明暗順応

平沼@NMAです。


昨夜、TVで「夕暮れ時の高齢者の事故」という特集番組が放送されていました。

番組は、薄暮がドライバーに与える影響や高齢歩行者が自分では気づいていない

盲点について、実車やシュミレーターを使って検証するといった内容でした。

短時間の番組でしたので深く掘り下げてといったものではありませんでしたが、

実車を使っての実験などは恐さや危険さをリアルに感じられるもので興味深く

見ることができました。


さて、話変わって皆さんは、暗順応、明順応という言葉をご存じでしょうか?

運転中、トンネルに入ると暗さに目が慣れず、しばらく何も見えなかったり、逆に

トンネルから出ると眩しくて、しばらく何も見えないという経験をされたことがある

と思います。

前者を暗順応、後者を明順応と言い、どちらも危険を見落としたり、見遅れる要因

となります。


これは何もトンネルなど特殊な状況で起こるだけではありません。

夕暮れ時、空はまだ明るさを保っていますが、道路には周りの建物が影を落とし、

暗くなっています。

特に秋冬は陽の位置が低いため、道路には長く、濃い影が伸びています。


その中を走るドライバーの視界には当然、明るい空と暗い道路が広がっており、

視点が少し動く度に明暗順応が繰り返されている状態になります。

この時の視力は、通常より1/3程度まで落ちるというデータもあるそうです。


先の番組では実車を使い、日中、夕暮れ時、夜間の危険回避反応時間を計測し、

夕暮れ時が一番、反応するまで時間が掛かったという結果を得ていました。

そこには、明暗順応による視力の低下、つまり、見えているつもりでも見えていない

といったことも影響しているのでしょう。


とはいえ、そのような視力の低下自体を防ぐことは難しいことでしょう。

我々、ドライバーに出来ることは、「夕暮れ時は視力が低下する」ことを意識する

ことではないでしょうか。

意識すれば、自ずと日中以上に車間距離やスピードに配慮した運転に繋がります。


もちろん、夕暮れ時は人も車も交通量が多い時間帯です。

周りへの注意喚起として、早めにライトを点灯することは言うまでもありません。



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